改正労働基準法実務相談室

企業の実情に応じた労働時間制度・割増賃金方程式の見直しに取り組み、職場風土の改善や企業活性化の為に自社における働き方の改革に取り組みましょう!

 

改正の目的

今回の改正は、長時間労働を抑制し労働者の健康確保を行うこと、仕事と生活の調和がとれた社会を実現することを目的としております。

 

 

改正のポイント

36協定届PDFアイコンの締結にあたり、特別条項を設けた場合には、労使協定事項に「割増賃金率」が追加されました。

 また従業員の仕事と生活の調和を図る観点から「時間単位の年次有給休暇制度」が創設されました。

いずれも「労使協定の締結」が必要になりますので、労使間の協議により労働時間のあり方について今一度検討する必要があります。

 

 

改正内容

今回の改正は、業種、規模により適用される範囲が異なります。

 

時間外労働の限度に関する基準について

対象企業 改正内容
全企業 義務 特別条項付の36協定届を締結するにあたり、時間外労働の限度に関する基準PDFアイコンを超えて働かせる場合は、一定期間ごとに割増賃金率を定めること
努力義務 時間外労働の限度基準を超える時間外労働時間の割増賃金率について2割5分を超える率とすること
努力義務 時間外労働の限度基準を超える延長することができる時間を短くすること

※ 一部限度時間が適用されない事業・業種があります。

  (工作物の建設事業、自動車運転、新技術・新商品の開発研究など)

 

法定割増賃金率の引き上げ

対象企業 改正内容
大企業 義務 1か月60時間を越える法定時間外労働に対して、5割以上の率で計算した割増賃金を支払うこと
労使協定 5割以上の割増賃金率のうち、2割5分の部分を割増賃金の代わりに有給休暇を付与する制度(代替休暇)を設けること

※ 中小企業は猶予されますので、ご確認ください

 ・総務省統計局 日本標準産業分類

 

時間単位の年次有給休暇の創設

対象企業 改正内容
全企業
労使協定
年次有給休暇を時間単位で付与すること

 

 

改正への対応事項

36協定届の締結

36協定届の締結にあたり、特別条項を設ける場合に限度時間を超える時間外労働の「割増賃金率」が協定事項に加わったことから、労使間で企業の実情にあった労働時間制度と割増賃金の支払いの仕組みについて検討しなければなりません。段階的な割増賃金制度の設定など複雑な制度設計になりますので、労使間で工夫をし、労働時間のあり方を見直す必要があります。

 

就業規則対応

今回の改正内容は、時間外労働の割増賃金率や年次有給休暇に関する事項など就業規則の必要記載事項である「賃金の決定、計算及び支払方法」並びに「休暇」に関する事項に該当しますので、36協定届、労使協定だけでなく、就業規則の整備・改定が必要になります。就業規則には、割増賃金率等をふまえた時間外労働の計算方法や時間単位の年次有給休暇の運用について定める必要があります。

 

労働条件明示事項の追加

労働契約の締結に際し、「賃金の決定、計算及び支払方法」並びに「休暇」については、書面による労働条件の明示が必要となりますので、今後、採用活動を行う際には、改正対応事項の明示が追加されます。

 

労働時間管理対応

時間外労働の段階的な割増率の設定、有給休暇を時間単位で与えるなど労働時間の適正把握のため、煩雑な作業にならないよう会社独自の明確な勤怠管理ルールを作成しなければなりません。

 

給与計算対応

割増率の引き上げによる人件費コストの増加だけでなく、給与計算システムの変更が必要となります。

 

 

当事務所のサービスプラン

お客様の業種、規模、改定する内容等のヒアリング後のご対応になります。

 

当事務所のサービスの流れ

 

 

 

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