改正労働基準法Q&A

Q1 労働基準法の改正はどのような内容なのですか?

今回の改正は、労働者の健康管理、仕事と生活の調和を目的としており、主な改正内容は3つあげられます。

  1. 時間外労働の限度時間を超えて時間外労働をさせる場合には、割増率を定めること、引き上げるように努めること、また延長する時間を短くするよう努めること
  2. 月60時間を越える時間外労働をさせる場合には、割増率を50%以上とすること(現行は、25%)及び一部割増賃金の支払いに代わる代替休暇制度の創設
    ※ ただし、中小企業については、猶予されます。
  3. 年次有給休暇を時間単位で取得できるようになります。

それぞれ、特別条項付の36協定届の締結事項の追加、割増賃金の引上げに伴う代替休暇制度や時間単位の年次有給休暇制度の創設に対応するためには、労使間で協定を締結するなどの要件がございます。

 

Q2 会社にどのような影響があるのでしょうか?

割増賃金の引き上げによる人件費コストの増加だけでなく、勤怠管理システムの整備が必要となります。特に今回の改正は、毎月の給与計算へ直接の影響がございます。

残業時間に応じた割増率の設定や労働時間・有給管理などの勤怠把握方法を整備しなければなりませんので、これまでの給与計算に比べ、管理が複雑になります。

 対策としては、まず、会社の労働時間の実態を分析し、法改正の内容をきちんと理解することが必要ですので、制度移行に向けて早めに着手する必要がございます。

 

 

Q3 中小企業には関係ないと聞いたのですが・・・。

中小企業であっても、時間外労働の限度に関する基準を超える取扱い、時間単位の年次有給休暇制度については該当致します。会社の残業時間と有給休暇の消化状況などを把握したうえで、特別条項付36協定届を提出する場合などには、対策を検討する必要がございます。

 

 

Q4 具体的な中小企業の範囲を教えてください。

中小企業の分類は、中小企業基本法の定める範囲によります。

業種 資本金の額または出資金の総額 または 常時使用する労働者数
小売業 5,000万円以下 50人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
その他の業種 3億円以下 300人以下

 

業種については、総務省統計局の「日本標準産業分類」に定められており、必ず自社の事業がどの業種にあてはまるのかの確認が必要です。例えば、

(医療、福祉)についてはサービス業、

(飲食店)(持ち帰り・配達飲食サービス業)は小売業と分類されております。

なお、単位は各事業場ごとではなく、企業単位での判断となりますので、ご注意ください。
資本金や出資金の概念がない場合には、労働者数のみで判断することとなります。

 

 

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